突発性難聴の鍼灸治療について
- 和来堂 田畑
- 5月12日
- 読了時間: 4分
こんにちは、鍼灸師の田畑です。連休明け、気候の事もあってか調子が悪い方が多いような気がします。
ちょっと突発性難聴の記事を書いてみようかと思って一気に書いたのですが、かなり長文になってしまいました。興味がある方が見て頂けたら嬉しいです。
突発性難聴という、ある日突然耳が聞こえなくなる病気があります。突発性とは突然発生するという意味もありますが、もう一つ「原因が分からない」という意味もあります。
「聞こえない」というのもいくつか種類があり、聴力が落ちて聞こえない場合、耳鳴りが大きくて聞こえが悪い場合、耳閉感(詰まった感じやこもった感じ)で聞こえが悪い場合などがあげられます。発症時にめまいや吐き気を伴う場合もあり、耳鼻科で点滴などの処置を行い、めまいを落ち着けた状態で難聴の治療が始まる場合が多いです。
突発性難聴が耳鼻科での治療で早期に完治するのは全体の約3割と言われています。残りの約7割は改善はするものの完治はしていないということになります。その状態では積極的な治療法は選択肢が多くなく、高圧酸素療法や投薬(ビタミン剤、血流改善薬、時に利尿剤など)が主だった治療になります。それ以上病院では行えることが現時点では無く、その状態に慣れていってもらう、というパターンが多いのが実情です。
これは耳鼻科の先生が悪いわけではなく、そもそも原因が不明なので打つ手がないのです。
では鍼灸や漢方では突発性難聴をどのように捉え、治療していくのでしょうか。
東洋医学では耳は腎が関係するといわれています。これは病院の検査で腎臓が悪くなってる、という意味合いではありません。「五臓六腑」という言葉を聞いたことがあると思いますが、この言葉は東洋医学の言葉で、この中の五臓とはすなわち「肝、心、脾、肺、腎」の事になります。ほかにも生きていくうえで大切な内臓は沢山あるのですが、東洋医学の主役級はこの5つになります。東洋医学はこの中の何かが調子を崩してしまったため、症状が出ると考えており、例えば腎の調子が悪くなった場合他の臓器にも影響がでるとしています。この調子を診て治療をするのが鍼灸や漢方となります。
ではどうやって我々鍼灸師が五臓の調子を診ているかというと、四診という方法を使います。その4つは「望、聞、問、切」で、
望ー見て観察
聞-音を聞く、匂いを聞く(嗅ぐ)そんなにクンクンしません(^^;
問ー問診
切ー脈や体表を触って状態をみる
ということを行います。といっても、他の先生は分かりませんが、「ハイ!見ますよ!次、嗅ぎますよ!」・・・なんてことはしません笑
事前に書いて頂いた問診表を見ながら普通に会話しながら勝手にやるので、特に気にならないかと思います。脈はこれから診ます、と言ってするのですが、それらの情報を頭の中でぐるぐるして、どこの臓器が弱っているかを導き出します。
でも最近脈をとる先生減ってきたんですよね。中年中堅鍼灸師としてはいささか悲しいというか情けないというかもったいないというか。独り言です。。
で、その導き出した弱っている内臓の事について改めてお話の中で確認し、鍼を使ってどこを元気にするか、流れをよくするか、という感じで治療をしていくわけです。そこで腎が弱ってる!!だけじゃないんです。人ってそんなに単純じゃないんですよね。
もちろんこの腎を何とかしないと!とは考えて治療しますが、大まかに言うと腎は疲労です。ほかには精神的ストレスは肝、心も関わってくるし、他の臓器も関わってくるのでかなりややこしくなってくるんです。
こんな感じで東洋医学的に身体を診させて頂いて、できることを探していきます。
患者さんの数だけ病気の原因があります。その原因を突き止めながら改善するために色々な方法がある中で鍼灸は効果的だと思いますし、僕自身鍼灸で結果を出し続けているので、困ったら一度鍼灸を試してみるのはお勧めです。絶対良くなるとはお約束できませんが、変化をもたらす努力を最大限させて頂きます。
良い治療家に巡り合うことは、きっと人生のプラスになることが多いと思います。僕もそうでした。つらづら書いたこの記事が少しでも突発性難聴の患者さんのプラスになれば幸いです。
和来堂はり灸治療院 田畑
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